先日、脇芽をぽきっと折って、ポットにぶち込み、毎日水をざばーっ、ざばーっとかけてみました。あら不思議、根がモリモリ出てきたではありませんか。差し込んだ部分の下部から横にひげ根?が伸びています。この方法で作った苗の特性としては、根の張りが浅く、実生苗に比べて水分コントロールが行いやすい、とのことです。
この方法、苗のコストを下げるために、よく農家で行われる手法だとの事。接木苗から育った脇芽を使用するならば、接木苗の遺伝子は100%受け継がれ、病気への抵抗性のある苗が作れるという事で、ものすごい生命力です。
今回使用した脇芽、実は接木苗に使う事もできます。先日、ものは試しに、自分で接木を行ってみたんです。穂木は今回と同じ脇芽。台木は台木から折り取った脇芽を育苗したものを提供していただきました。15分おきに毎日シリンジを行うという、地獄の順化を数日間経験し、活着率100%!!言葉にできない達成感。
しかし、接木時に、傷口からバクテリアの侵入があり(使用するカミソリを時折、「イチバン」や「ケミクロンG」で消毒しなかったことが原因)、葉の縁が黄色くやられてしまいました。生育には問題ない範囲だという事ですが、この症状を改善するには、ボルドー系の薬を使うとよいそうです。Zボルドーとかカスミンボルドーとか。どちらも銅剤系統です。それにしても、時折の消毒というほんとうにちょっとしたことが原因でそのあとの出来不出来が大きく変わってしまいました。農業って、ちょっとした気遣いや心配りの連続なのではないか、と最近思います。植穴に混和するモスピランの加減、灌水の時間帯とタイミング、衛生面、残渣の片付け、覆土の厚さ、覆土を篩(ふるい)にかけてから使用するのかそのまま使うのか、播種時に圧の掛け方を手でやるのかローラーを使うのか、灌水してから播種をするのか(乾燥対策のほか、灌水後の植穴内の土の沈み方が変わるため、灌水せずに播種を行うと覆土の厚さにバラツキが出るような感じがします)、...これでいいかぁと妥協しても、できることにはできるんだけど、妥協しなかったときと比べて、その差は一目瞭然。
これ、恐ろしい。
ほんとうに「ちょっとしたこと」。これが大事だと気づいたとき、大げさなのですが、自分の考え方や生きる姿勢を見直すきっかけになったんです。1日24時間の中で、自分にウソをつく時間帯や、自分を苦しめてまで必要のない妥協をする瞬間があってはいけないと思うようになったのでありまする。その瞬間の、他人には見せられないような醜態って、たぶん昼間圃場に出ているとき、どこかでふっと出てしまうような気がして。そういう姿勢が妥協につながったり、生育管理の甘さにつながっていくんじゃないか思うと、もう恐ろしくて。今植物がどういう状態なのか、渇いているのか、適湿なのか、こんな簡単な判断ひとつをとっても、「ちょっとしたこと」に気づけない状態ならば、間違った判断をしてしまうでしょう。自分の集中力を妨げるものが、私生活にあってはいけない。最近つくづくそう思うようになりました。