2014年9月13日土曜日

コカブ;横縞症について


ちまたは3連休、いかがお過ごしでしょうか。連休初日、にわか農家は苗の管理を終え、午後は久しぶりに足を伸ばしています。それにしてもハクサイとレタスの管理は非常に神経を使います。何と言っても、ブロッコリーやキャベツに比べて鉢上げ時のショックが大きい。鉢上げ後2・3日で立ち上がるところを、5日くらいかかります。ヘタすれば、これはもう死んだか?と思うくらい、へたっとなるのです。すごく心臓に悪い。「失敗しました!」なんて、責任のないことは言えないので、鉢上げのタイミングや灌水のタイミングなど、結構、判断に迷う瞬間があります。

それはさておき、今日の本題は、夏のコカブ栽培の振り返りです。7月2日以降、4日おきに播種をしてきましたが、収穫時、「横縞症」の発生に悩まされました。この「横縞症」、詳細がテキストに書かれていない為、指南書としての役割を求めるべく、専門的な論文を探してみました。あったんです。「コカブ横縞症の発生要因」千葉県農業総合研究センター(2005)。
http://www.pref.chiba.lg.jp/lab-nourin/nourin/kenkyuuhoukoku/documents/carc04_p145_150.pdf

PDF形式でしたので、すぐに印刷して読む事が出来ました。それによると、「横縞症」は「はちまき症」とも呼ばれ、高温乾燥年の夏どり栽培に多発する傾向があること、発生の位置が肥大根部の地中部分にあること、連作により鶏糞が多く使われ作土中のpHが高い傾向にあることが知られていました。同じアブラナ科のダイコンにおいては、過去に、糸状菌による病害であるとの報告や、そうか病・亀の甲病・サツマイモ立ち枯れ病に共通する発生条件とコカブ横縞症の発生条件が類似する事から、放線菌による病害であるとの報告も。またニンジンの横縞症については、水分ストレスが要因であると過去に報告されています。


今回読んだ論文では、5つの試験を行っています。
  1. 生育のどの段階で発生するのか、播種後、任意の日数で引き抜き、その発生具合を調べています
  2. 土壌滅菌処理の効果はあるのか
  3. 播種時期によって、発生具合は変わるのか、6月11日〜8月13日の間に7回の播種を行っています
  4. 土壌pHの影響はあるのか、pH4.7〜7.2の区画を設置し、比較を行っています
  5. 連作の影響はあるのか、2連作区、3連作区、4連作区を設置し、比較を行っています

結果、
  1. 播種後、15日後では横縞症は見られず、24日後から発生が確認された
  2. 土壌消毒を行った区画でも横縞症はみられた
  3. 7月上旬播種〜8月上旬播種にかけて、50%以上の株で確認され、特に7月中旬蒔きでは多く発生した
  4. 土壌pH値が高いほど、発生が高まる傾向が確認された
  5. 2連作区で最も多発し、3連作区では最も発生が少なかった

これらの結果を受け、
  1. 24日後から発生が確認されることから、肥大が進むと発症しやすくなり、症状も明確になると考えられる
  2. 土壌滅菌処理した区画でも見られた事から、生理障害であると考えられる
  3. 7月上旬蒔き以降、気温の上昇に伴い発生が多くなった事から、根部肥大期の高温条件が多発要因のひとつと考えられる
  4. pHが高いほど多発する傾向があることから、高pHも多発要因のひとつと考えられる
  5. 作付け回数に関わらず発生し、連作が進んでも横縞症が多発する傾向は見られないことから、連作の影響はないと考えられる

と考察を加えています。換言すると、「コカブ横縞症は生理障害であると推察され、高温や土壌の高pHが発生要因と考えられる」こう締めくくっています。この3年後、さらにもう1本の論文が発表されています。まだ読んでいませんが、次の論文では土壌の水分についても言及されているようです。今回のにわか農家の栽培では、水分が多すぎて生育が遅れるほど灌水を行ったので、あわせてそのあたりを検証していきたいと思います(^^)

岡安先生に相談したところ、生育初期、特に播種直後の過灌水が原因ではないかとの事。ダイコンの横縞症ではその切片を観察すると、糸状菌が確認される事から、過剰な水分により菌の発生を誘発し、横縞症につながるということでしょうか...???もう混乱です(^^;)これに、遮光資材の問題や灌水の問題が混じってきます。きっと、原因をひとつに絞る事はできないのでしょう。水分、地温、気温などが相互に作用して、横縞症の発生につながるのか。改めて、農業とは知的な行為なり(^^)