2014年1月26日日曜日

ホウレンソウの花芽分化

先日の圃場研修、
ホウレンソウの花芽分化について最先端の事情を教えていただきました。

ホウレンソウは大きさに関係なく、日長が長いと花芽分化し、商品にならなくなってしまうとの事。

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

ここで1年の周期を考えます。
今は寒さのピークですが、3月のお彼岸を過ぎると日は長くなり、9月の秋分の日を過ぎると日は短くなります。つまり3月から9月は日の長い期間となり、ホウレンソウは花芽分化してしまいます。

ここで品種について考えると、
  • 日本ホウレンソウ(剣葉):美味しいが日長に敏感、花芽分化しやすい
  • ヨーロッパ系ミンスターランド(丸葉):味は落ちるが、一日の日長が15時間以上でも花芽ができにくい

したがって、日本ホウレンソウは、9月以降の日が短くなる時期に播種し、11月・12月・1月が旬となります。また、3月から9月までの日が長い期間は、日本ホウレンソウの播種には適しません。埼玉県では、5・6月に播種・収穫することが難しいようです。そこで、日本ホウレンソウとミンスターランドを交配したものを3月から9月に使用すれば、味は落ちるが収穫は可能であるとの事。また、冬に花芽ができたとしても、気温が低く、花芽が成長しないため、商品としてそれほど問題ではないと...

このような特性を生かし、
北海道や長野、群馬の山間では、冷涼な気候、日長の短さ(山間のため日陰になりやすい)ことを利用した夏のホウレンソウ栽培が盛んなわけであります。また、岩手県の太平洋側の山沿いでも、海からの「やませ(東風:こち)」を利用し、夏のホウレンソウを栽培しているようです。

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

話はこれだけでは終わりません。

9月以降のホウレンソウは日長が短く、栽培しやすいはずなのですが、圃場脇の街灯の光(新聞が読める程度)に反応してしまうことが東京の日野近辺で問題となっておるようです。ホウレンソウが感じる光の波長というものが存在し、それは640nmの波長であるとのこと。生産者・街灯設置者・研究センター・メーカーを巻き込み、波長を調整できるLEDに変えることで一件落着したようですが、

この話、とてつもない広がりを感じました。

それこそ、
わたし:「先生!発芽しても枯れましただ!」
先生 :「お前、それはプシウム菌のせいだ!」
という目に見えない細胞レベルの話から、光学の話、環境学、都市計画の話までつながるところです。うちの圃場の脇に、「防犯!」といって電球がつけられたら、ホウレンソウがうまく育たないかもしれません。

目を向けなければいけないことは、圃場の土や作物だけではありません。
空、光、風、水、あらゆるものを五感で感じ取る能力と知識ですね。
「花芽ってなんすか?」と聞いてるようじゃ...(笑

はぃ、今日もご覧いただきありがとうございました。