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2015年4月2日木曜日

トマトの施肥設計と土壌分析


前回の記事では、今年もトマト栽培ができる!と申し上げましたので、また溝掘りをしました。夏越えをする栽培なので、スタミナ切れを防止するため深さ30cm程度の溝を掘り、そこにワラやら堆肥やら肥料やらをぶちこみます。

問題はここでの施肥量。前回、土壌分析の結果がでた!と言いましたが、それはすでにこの溝の中に肥料を入れた後のことです。あとの祭りでしたが、分析結果を受け、全面施肥量を調整しました。全面施肥量については後ほど、まずは溝施肥量から。

とりあえず、スタート時点の総施肥量(追肥は考慮せず)を10aあたり成分量で N:P:K=15kg:22kg:20kg とし、この3分の1の量を溝の中にぶちこみました。
使う肥料は、
  • 有機配合肥料8-8-8
  • 化成肥料8-8-8
  • 油かす5-2-1
  • 硫酸カリ(50%)
  • 過リン酸石灰(17.5%)
  • ワラ、堆肥

ワラ、堆肥以外の肥料に、15kg:22kg:20kgをどのように割り振るか。窒素分については8-8-8の肥料と油かすに均等に割り振り、リン酸・カリについては硫酸カリと過リン酸石灰を中心に頼ることにしました。施肥後、バットグアノを振りながら埋め戻し、しばらく潅水をして地下に水をためます。ここの土は水の抜けがとても早い。日曜日に潅水して、火曜日にはトラクターが入れるという具合。

現時点で10aあたり、成分量で4.7kg-7.3kg-7.0kgの肥料が地下に眠っています。この直後、土壌分析の結果が出て顔が真っ青に!「もう肥料入れちゃったもぉーんっつ」と店頭で何度叫んだことか。

復習すると、pH=7.2と異常に高く、EC=0.03と低い。そのほか、マグネシウム・石灰・リン酸・カリ、どれをとっても標準値よりも高いという状態。pHとマグネシウムと石灰とカリについては、「狭山げ◯きファーム」の焚き火の影響だとか、苦土石灰散布直後のサンプル採取であったためとか、いろんな言い訳ができますが、EC値の低さやリン酸については説明しきれません。

いろいろと協議の結果、全面施肥については窒素分を中心に行うこととなりました。

窒素主体といえば、尿素や硫安、硝安などが挙げられますが、どれをとっても速効性の単肥です。全てを化成肥料でまかなうわけにはいきません。窒素分が主体で、化成肥料でないものといえば...油かす!!そう、成分量は5-2-1。リン酸の2とカリの1は無視して、油かすを10aあたり成分量10kgとして使うことになりました。それに速効性の硫安を10aあたり成分量5kg加えます。この辺の施肥量の補正に関しては、経験値のあるプロ中のプロに教えてもらうのが一番です。分析値を受けての補正なんて初めてですから...

さらに、pHを少し抑える(下げる)ため、保険的な意味合いでpHを下げる資材を使うよう、教えていただきました。pHを下げるものといえば...そう、ぴーともす!ピートモスについては、以前記事として書いたことがありましたが、このタイミングで出てくるとは。そして、なぜか、このブログで一番読まれている記事が、「pHを下げる:硫黄華・ピートモス」なんです。みんな、高いpHに困ってるんですかねぇ?苦土石灰の振りすぎはいけません!!


話を戻し、ピートモスへ。
これ、堆肥の代わりとしても使われる資材だそうですが、「pH調整型(pH3〜4の強酸性)」と「pH無調整型」に分けられます。本来ならば無調整型を使いたいのですが、お店には調整型しかありませんでしたので、やむなく1袋の半分15Lを油かす・硫安とともに全面散布しました。

この後、トラクターで耕耘、高ベッド作りと順調に進みました。
しかし、ひとつ大事なことを忘れています。
報告書に出ていた、「マグネシウム過剰」。苦土石灰散布直後のサンプル採取の影響が十分に考えられますが、もともとの土壌中にマグネシウムが過剰に蓄積していた可能性はぬぐえません。これが何を意味するか...岡安先生に指摘されるまで、気づきもしませんでした。「マグネシウム過剰の場合、植物体への吸収という点でカルシウムと拮抗し、その場合マグネシウムが勝ってしまう」

つまり、マグネシウム過剰により、カルシウムの吸収が阻害されること。果実にカルシウムが流れにくくなるということは...あれです。そう、去年苦しんだあれです。2段目から発生し、ついには最終段まで出てしまった。アレ。葉面散布も効かなかったアレ。


尻腐病!!
今年のトマト栽培も尻腐れの発生リスクが高くなりました。

参りました...としか言いようがありません。施肥量の補正など、できることはやりましたので、あとは、生育初期からの葉面散布でカルシウムを補いつつ、潅水を控えすぎないこと、でしょうか。でも、全面施肥量を去年より減らしてあるので(この段階での総施肥量は、成分量で約 20kg-11kg-9kg)、樹が暴れた去年よりかはマシになると思われます。予想できるリスクはなるべく回避します!


去年に続き今年も怖い思いをするであろう、にわか農家。とりあえず、定植が終わったら、神様にでも拝みますか(^^)「自分の尻は腐っても、果実は腐りませんように...クワバラ クワバラ...」