2014年4月1日火曜日

増税と農業:「質にこだわる」


消費税8%のスタート。
そしてTPP。少なからず農業の業界にもじわじわと影響が出てくるのではないかと思います。今日は特別投稿につき、にわか農家なりの考えを述べたいと思います。

消費者行動を考えるにあたり、増税に伴う価格値上げに加え、大企業レベルで「低価格競争からの脱却」が始まっています。とくに流通業界、質の良いものをブランド化し、これまでの価格通りで販売、はては価格を上げる戦略がとられています。

消費税の導入以来、2回目の増税。前回の増税と何が変わるのか。前回の増税時、山一証券の破綻を告げる映像は、記憶に新しい。幼かった自分も、山一証券のビルの屋上を旋回するヘリコプターからの映像を今でも覚えています。

【安いものを求める】【自分が納得する価値のものに対価を支払う】
前回の増税に比べ、大きく異なる点は、【消費者の意識の変化】であるという(野村総合研究所)。それは価格に見合った商品を消費者が選択するようになってきたという傾向です。10年以上続くデフレの中で、当初の安けりゃいいという意識から納得する価値にその対価を支払うという意識に変化してきたという。これは、長引くデフレに対する消費者の自己防衛本能なのかもしれない。先の見えないデフレ、息の詰まるような生活の中で、例えば、自分へのご褒美(プチ贅沢)として高級なサービスや商品を購入する消費者が増えてきたということでしょう。

そうなると、商品のブランド化(ブランディング)が流行ってくる。
農家で言えば、「○○さんちのトマト」や「○○さんちのイチゴ」といったブランド化が一層強くなっていくのだと思います。これが行き過ぎると、富裕層のための野菜(富裕層しか買えないような値段の野菜)が作られていくのだと思います。それは裏を返せば、いわば、【顕示の消費】のための1個ウン千円という商品が出てくるということ...その一方で、庶民が手にする野菜はこれまでどおり、市場を通じて店頭に並ぶのでしょう。それにTPPが加わり、輸入商品の質と価格はどうなるのか。また、輸出コストの問題さえクリアすれば、日本の作物の輸出も不可能ではありません。視点を広げてみると、自分がどういう客層にどういう商品を売りたいのか(ターゲティング)が大事になってくると思います。

でもその前に、まずは質のよいものを作る技術があること、そのあとに価格がついてくるのだと思う。商品の種類にもよるが、消費者はまず値段を見て、次に質の善し悪し(価値)を確認し、そのあと、価格と価値を比較する段階に入っていく。野菜は、その善し悪しがすぐに確認できるものだと思います。ごまかしは一切効かない商品です。

いつだれがどこから見ても良い商品を作っていかなければ、生き残れないと思う。

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話は変わるけど、雪の倒壊から1ヶ月半。
ハウスが復活したのはほんとうに奇跡。
種屋さんに聞くと、いまだにハウス関係の資材が集まらず、規模を縮小する農家さんも多いという。とりあえず、あれだけの被害で済んだ事に感謝しなければ...

おかげで、めまぐるしい毎日だったけど、苗の定植に間に合って、ほんとうによかった。「目の前のことにがっつきすぎ。誰も評価してくれないよ」と周りに笑われることもあったけど、このスピードで進めてきてよかった。正直この1ヶ月半、ほんとうにつらかった。プライベートで仕事を手伝ってくれていた人の協力も得られなくなり、体的にも精神的にもマジでしんどかった。でも、苗の管理が始まり、否が応でも余計なことを考える暇がなくなった...圃場に助けられていたのかもしれません。
おかげで、農地やトラクターを貸してくださる地元の方もあらわれ、すこしずつそれっぽくなってきました。あとは、教えてもらった技術を復習しながら、一緒に仕事を進められる同志がいること。プライベートにしても、そうでないにしても、本気で一緒に仕事ができる仲間が居る事はほんとうに幸せな事。

毎朝圃場で、「うぃっす」「おはよーっ」「今日もいい天気でハードだぜぇぃっ」って言える仲間がほしい。ひとりだとね、どこかすり切れそうになる瞬間があるんだよね。でもそんなときに声をかけてくれるのが、周りの農家さんや仲間たちなんです。

明日もお天道様に「おはようございます」言って、頑張るべや。

話がだいぶずれましたが、「質の良いものを作る」こと。そのためには質の良いものを見ること。そしてなにより自分の意識だよね...年度のはじまり、今年度は質にこだわる1年にします。
いつも応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。